ゴルフのブログ ~経営コンサルタントが頭でGolf攻略 ~by神谷奏六

運動神経悪い芸人並みに運動神経ゼロ、力もなし。ゴルフ歴10年でアベレージ100超えの経営コンサルタント・神谷奏六が、その運動能力不足を、データ分析と努力でカバーしてベストスコア71・シングルを目指すブログ。現在アベレージ83。

ベン・ホーガン著「モダン・ゴルフ」 真剣に上達を目指すゴルファーは(たぶん)避けては通れない、この名著の魅力

ゴルフ上達を真剣に目指していて、なんだか「勝手に『ゴルフ道』」みたいな領域に入りこんでしまっている(私のような)人にとって、外せない名著と言えば、ベン・ホーガン氏の著書「モダン・ゴルフ」だと思います。

 

今から61年前の1957年に出た著書(初の日本語訳は1958年)にもかかわらず、「今でも使える」「今なおまさにモダン」「というか、現代ゴルフ論の源流」「つまり原点」「そう原点にして原典」くらい、あらゆる人気レッスンプロが絶賛し、ほとんど否定されていないという数少ない本です。

 

なんせ古い本なので「ドライバーはパーシモンで、ユーティリティーもマレットパターもなく、アイアンは1番アイアンから入れていた時代のスイング理論が参考になるのか?」という思いが私にはあったのと、ゴルファーにとってはなんだか聖典みたいになっていてちょっとハードルが高い気もあったので、私はしばらく読んでいませんでした。

 

ところが、最近気が向いて買って読んでみたら、これがかなりよかったので、レポートを書いてみたいと思います。

 

 

 

ゴルフ本の選び方について思うことと、私が「モダン・ゴルフ」と出会うまで

今から10ケ月ほど前の去年の10月頃、当時ベストスコア92、アベレージ103~4だった頃に「何が何でも72で回りたい」と決断し、私は猛練習生活を始めました。

 

今ではアベレージ80台、ベストスコア81までは来たのですが、この過程での猛練習には

 

・ドライビングレンジでの自習

・ドライビングレンジでのレッスン

・アプローチ練習場でのアプローチ

・アプローチ練習場でのバンカーショット

・アプローチ練習場での打ち上げ・打ち下ろしの寄せ

・パッティング練習

・素振り

・SG(ストロークスゲインド)を使ったスコア分析

・筋トレ

・ストレッチ

 

などを色々試しました。

 

しかし、この他に運動神経の悪い私がやったことと言えば「ゴルフ知識の勉強」というものがありました。

 

「本や雑誌読んでうまくなったら苦労しないよ。」

 

という人は多いと思います。

 

私はこれまで水泳、卓球、テニスをやった経験がありますが、実際にどのスポーツでも上手な人の中で、そのスポーツの本をたくさん読んでいる人というのは少ないと思います。

 

しかし、プロに教わり、練習もちゃんとやる前提であれば、知識はないよりはあった方が、理解度も異なると私は考えました。

 

ゴルフが上手な人は仕事ができる人が多く、経営者など仕事で成功している人にもゴルフが上手な人が多いと思いますが、仕事で成功している人や仕事が出来る人というのはほぼ全員が読書家です。

 

つまり、「ジュニアからゴルフ(スポーツ)をやっていて、本を読みまくった人」というのは少ないと思うのですが、「仕事で成功して、ゴルフも上手になって、本を読みまくった人」というのは多いと思うのです。

 

そこで、近所のブックカフェでゴルフ本や雑誌を乱読し、よさそうなものは購入して復習しました。

 

それも、専門家によってその提唱するゴルフ理論は言っていることは千差万別なので、なぜそのような違いが起こるのか、私の場合はどう取り入れたら良いのかなどを確認しながら勉強するために、意見の異なる色々な本、雑誌、マンガ、ブログまで読みまくりました。

 

専門家と言っても立場は様々で、現役プロゴルファーから、レジェンドプロから、プロコーチから、レッスンプロから、トップアマから、そこまで行かないシングルクラスのプレーヤーから、ドラコンプロから、プロを育てた親から、科学者から、教授から、フィジカルトレーナーから、メンタルトレーナーから、ギア職人から、練習場オーナーから、ゴルフ用品メーカーから、ゴルフ用品店から、人気のゴルファータレントや人気ブロガー、学生、漫画家、芸人、素性の知らない自称専門家から、果てはもうほぼ完全に門外漢の著名人アベレージゴルファーまで、ものは試しなので(なるべくお金をかけずに)情報を乱読し、取捨選択に努めてみました。

 

その結果、一つわかったのは、上記のようなゴルフの(自称も含めた)専門家は、ほとんど全員、専門家どうしで他の専門家の言っている理論や意見を否定し合っているということです。

 

したがって、ほとんど全ての専門家の意見・理論が「賛否両論」あるいは「人による」と判断されている現状だと感じたのです。

 

「今、流行りの腕を○○するというのは間違い」「腰を○○しろと言う教えが流行っているが、このせいで○○というミスをするゴルファーが多い」「インパクトでからだを○○するように使えというプロのせいで、飛距離が逆に落ちている」・・・こんな風な論調、まあまあ多いです。

 

・・・いや、議論をしていただくのは勝手です。

 

それに、体系的なゴルフ理論を学んだ方ならそう感じないかもしれませんが、私のような、ゴルフの基礎理論をほとんどまったく知らない者から見たら、「持論」と「それに対する敵対心」だけから来る口喧嘩にしかみえません。

 

もちろん、私個人のゴルフ上達につながる議論だとは思えず、聞くに耐えないと判断せざるをえなくなってしまいます。

 

このように、多くの自称ゴルフ専門家と、また別の多くの自称ゴルフ専門家は、多くの時間を使って互いの理論や、場合によっては人物まで批難しあっていると感じざるをえないのです。

 

しかし、その中で、逆にほとんど全ての専門家が全否定できずにいる、「この人だけはゴルフの神髄に通づるものがあるものは間違いなさそう。」という人が何人かいることにも気づきました。

 

 

その「この人だけはゴルフの神髄に通づるものがあるものは間違いなさそう。」という数少ない中の一人がベン・ホーガン氏であり、その代表的な著書がそのベン・ホーガン氏の著書「モダン・ゴルフ」だと(私なりに)気づいたのです。

 

 

 

とにかく、どの専門家もベン・ホーガン氏とその著書「モダン・ゴルフ」誰も否定しないだけでなく、非常に多くの専門家が「あのベン・ホーガン氏も著書『モダン・ゴルフ』の中で説明しているように・・・」と、自身の理論の裏付けとしてベン・ホーガン氏の言葉を、まあよく引き合いに出しているのです。

 

 

つまり、「自身の理論は、あの(誰が見ても一理ある)ベン・ホーガン氏の理論に支えられている」「同氏の代表的著書『モダン・ゴルフ』を読めばすぐわかるように。」といった具合です。

(もちろん、一部「左手がスクエアグリップというのだけは賛成しかねるが。」「俺はアームローテーションは少ない方がいい派なんだけど。」くらいの部分的な反論はあります。そういう細かい重箱の隅のような話ではなくて、人物として、書籍として体系立てられたものとして、ということです。)

 

私は関西に住んでいた頃、4スタンス理論のゴルフスクールに通っていました。

golfblog.hatenablog.jp

 

その際に、この4スタンス理論・レッシュプロジェクト認定マスター級トレーナーのレッスンプロに、「どの専門家のゴルフ理論を参考にしたらいいですか?」と聞いたら、「神谷さんとおんなじA2タイプのベン・ホーガンは読んでみたらええんとちゃいますか。」と言われたので、以前から気になっていたというのもありました。

(ちなみに、4スタンス理論では4つのタイプ別にゴルファーの左手のマメのできかたが異なるという考え方がありますが、ベン・ホーガン氏が「モダン・ゴルフ」で紹介していた「正しい左手のマメの出来方」は、私の左手のマメの位置とびっくりするくらい同じ場所を示していました。これも私が感じた「私に役立つ」と感じた要素の1つです。)

 

しかし、私がゴルフ本を読みあさっている中で、「モダン・ゴルフ」はもう60年以上に出た本だというのと、ゴルフ書籍界の中ではなんだか最も聖典っぽいものになりつつあったように感じていたので、ちょっとハードルが高いイメージを勝手に持って敬遠していました。

 

パーシモンのドライバーと、今の大型ヘッドのドライバーの打ち方は異なるという意見もありますし、そのような意見を読み込むと確かにそうだと思います。 

 

しかし、ベストスコア81が出て、「次は80切り!」と意気込んでいた中、本屋のゴルフ本コーナーのほとんどは100切りか90切り対象で、80切りを明確にテーマに打ち出した本となると、「モダン・ゴルフ」以外はなかなかありませんでした。

 

そして、(コースマネジメントやメンタルならともかく)ことスイング理論を学ぶ上では、なるべく余計な癖がつきにくいもの、そして専門家から「私に合っている」と薦めてもらったものは「モダン・ゴルフ」以外はかなり少ないので、やっぱり読まなければ、と思ってようやく買った「モダン・ゴルフ」が最近Amazonで買ったのが今週届きました。

 

読み終えて、この本、(私ごときが言うのは少しはばかられますが)さすがベン・ホーガン氏だけあって、わかりやすく、しかもすごく深いと思いました。

 

そこで、今回の記事ではこの著書の魅力を書いてみたいと思います。

(今回は「初めて読んで、その魅力を語る回」とし、内容の咀嚼は別の記事で紹介したいと思います。)

 

 

提案は非常にシンプル、ポイントも極限まで絞り込まれていて、推奨する練習もすごく少ない

まず、この本、ページ数が少ないです。

 

私が買った「ハンディ版」という本では、全5章のうち、それまでの内容を要約した「まとめと復習」の第5章を除くと、ベンホーガン以外の人が書いた前書きと序文を含めてもわずか116ページ、前書きと序文を除くと106ページしかありません。

 

 

しかも、この中には1ページ、時には見開き2ページをほぼイラストに割いたページも含まれているので、文字の解説のページはもっと少ないことになります。

 

そして、これらの4章を要約した第5章に至っては29ページ(もちろん豊富なイラストページ入り)しかありません。

 

普通、本というのは薄い文庫本でも200ページか250ページくらい、薄くも厚くもない本だと300ページか400ページくらいあることを考えると、異例の少ないページ数だと言えます。

 

毎日朝から晩まで練習しているツアープロが書いた本は、「あれもやった方がいい、これもやった方がいい」という本が多い気がしますが、この本では一連のスイングの中で重要だとされているポイントが非常に少ないのが特徴だと思います。

 

具体的には、この著書の中で、アドレスからフォロースルーまでで大事なポイントは「8つ」と書かれています(数えたら9つありましたが)が、重複する部分もありますので6つか7つくらいと判断してもいいと思います。

(今回はネタバレ記事ではないので、その6~9個の要素は別の記事で書く予定です。)

 

これはゴルフスイングのポイントについて解説している本としては、極めて少ないと思います。

 

普通のゴルフ本は、少なくとも30個くらいの解説ポイントが合わさって1冊の本になっていると思います。

 

この著書で推奨しているスイングを身につけるための練習についても4つか5つくらいしか提案されていません。

 

それらの中には「・・・これらのポイントを意識して、打ちっ放し練習場で練習してね。」みたいなのも入っているので、いわゆる「ドリル」みたいなのはもっと少ないことになります。

 

しかも、誰でも家でできる練習がほとんどです。

 

そして、最近のゴルフ本の中には「大事なポイントが少なすぎて、これで本当に大丈夫か?」と感じる部分もあるのに対して、この本では「本当に最低限をつきつめるとこうなるのだな」というようなポイントだと感じられるような内容だと思います。

 

インパクト前後10センチだけうまくなればドライバーからパターまで完璧」とか、「ボディーターンさえできればドライバーからパターまで完璧」とかいうたぐいの本もありますが、そんな風に言われても、それで全てのショットを完璧にできるアマチュアゴルファーはほぼいないと思います。

 

しかし、この本は信憑性があるくらいのポイントの絞り込まれ具合だったと私は感じました。

 

そして、この「大事なポイントが少ない」という点は、「全ゴルファーに共通して重要な要素」を把握していて、「個人差があるので、個人差の部分まで型にはめるつもりはない」という考え方があるのだと感じたのですが、この点も好印象でした。

 

そして後述する「重要度の優先順位付け」ができているからに他ならないと感じさせられました。

 

 

優先度が順位付けされている

この本では、優先順位が明確になっているため、何から順番に習得して行けばいいかが明確なのもよかったと思いました。

 

グリップならグリップのいくつかのコツの中で、バックスイングならバックスイングのいくつかのコツの中で、それぞれ「でも、色々言ったけどとにかくこれが大事」というのが非常にわかりやすく解説されています。

 

それを絞り込むと、上述のようにベン・ホーガン氏いわく8つ(受け取り方によってはたぶん6~9つ)に絞られ、ページ数で言うと第5章の29ページに絞られるのだと思います。

 

私は経営コンサルタントなので、人に何かを指導するコツというのは訓練を受けて来ましたが、その経験を踏まえても、同時あれもこれもというのは、伝わりにくく、成果が出にくい方法です。

 

そして、伝えるポイントをいくつかに絞るというのは有効な指導方法なのですが、さすがに「これ1個で全部解決」というのは、逆にあまり伝わらないのです。

 

その点、この本はグリップ、アドレス、スイング前半、スイング後半のそれぞれで大事なポイントを絞っているという点もわかりやすく、「それを信じてやってみよう」と思うに値すると感じることができました。

 

 

特に、正しいインパクトはいくつかの要素に加えて正しいバックスイングがあることが前提、正しいバックスイングはいくつかの要素に加えて正しいアドレスがあることが前提・・・というようにスイングが積み重ねで解説されているという納得度に加えて、「つまり、最初に正しいグリップを練習してね」と書いてあるという点も信憑性がありました。

 

ゴルフ本にはグリップのことを書いている本は少ない上に、「グリップの話から入ると、地味すぎて序盤で読者が逃げる」と編集側の事情を自虐的にさらしている本を私はこれまで何冊も見て来たので、上述のグリップが重要な理由を書いた上でグリップの話から入っているこの著書はさすが(すみません私ごときがベン・ホーガン氏に対して)の骨太な本だと感じました。

 

マチュアのゴルファー向けに特化している上に、役立つ読者が多い

前述のように、私はツアープロから「ほぼ一般人」まで数多くの著者の本を読んできましたが、その経験から以下の2つの傾向を感じていました。

 

1.「『ツアープロ、ドラコンプロ、ジュニア上がり』の著者の書いたアドバイス」は、プロや、上級者や、身体能力がある程度高い人や、運動神経がいい人にはいいワンポイントアドバイスになることがあるが、私のような「大人になってからゴルフを始めた、プロを全く目指していないアマチュアの、非力で運動神経が悪い人」が読んでも、それだけでは何も改善できない

 

2.「『100切りを目指している人や、アベレージゴルファーに人気』という著者が書いたアドバイス」は、アマチュアの最近120くらいで回れるようになった人や、ベストスコア100~104くらいの人には目からウロコの内容になることがあるが、私のような、「アベレージ80台後半くらいで、ベストスコア72を目指している人」が読んでも、なんだか手応えが薄い

 

こんな傾向がある気がします。

 

1.については、出版社の営業担当も「無名の専門家よりも、プロが認める著名な専門家の書いた本の方が売れる」と思うでしょう。

 

2.については、出版社の営業担当も「80切りしたい人よりも、100切りしたい人の方が多いし、無邪気に本も読むだろうから100切り向けの本の方が売れる」と思うでしょう

 

だから、本屋に行くと1.や2.な本ばかりなのは、私でも納得がいきます。

 

そして、この間にいて、しかも本好きの私にぴったりあてはまったのがベン・ホーガン氏著「モダン・ゴルフ」だったと感じるのです。

 

 

読んでみるとわかるのですが、アメリPGAツアーのトッププロが現役バリバリの時期に書いた本としては、時間がないアマチュアゴルファーの立場にここまで立つことができるのか、というくらい実践しやすい練習法だと思いました。

 

そして解説されている重要な要素どうしが密接に関連し合っており、「極めてシンプルにアベレージゴルファーのゴルフを上達させる戦略」が背景に存在した本だと感じました。

 

 

 

当時としては斬新な、でも今となっては原理原則となっている概念について解説されている

ゴルフ本に限らず、「今まで提唱されていない新しい概念」というのは目を引きますし、それだけで多少、本が売れることもあると思います。

 

しかし、斬新なだけで納得性を伴っていない本は長く売れることはありません。

 

一方、原理原則の本はおもしろくないので、発刊直後に爆発的に売れるようなことはなく、それがゆえに増版もされない場合がほとんどです。

 

蟹工船」「君たちはどう生きるか」のような、何十年も経ってからその価値が見直されて再度売れ始めるというのは、例外中の例外です。

 

しかし、この本は、発売した1957年当初も売れに売れ、それから61年が経過した今でも年間5万部(アメリカだけで)が売れ続けているという、「『斬新さ』と『原理原則の納得性』の両方を踏まえた書籍」と言えると思います。

(私も出版社経由で書籍を出したことがありますが、書籍というのは初年度で5,000部売れたらヒット書籍であり、60年以上経って毎年50,000部+海外でプラスαというのはもうレジェンド級です。)

 

 

例えば、モダン・ゴルフの中では、「飛球線後方から見てアドレス時のボールと肩を結んだ線(平面)をオンプレーンと呼び、これに平行に腕を上げてバックスイングすることが重要だ」と解説していますが、これは当時はほとんど誰も提唱していなかった斬新な提案であった一方、現代では誰でも知っている概念です。

 

これが、「当時の大ヒット、かつ現代のロングセラー」になりえたほど「斬新さと原理原則の納得性の両立」を実現しうる書籍だということの根拠の一つだと思います。

 

 

「モダン・ゴルフ」を読んで、私の試した練習法

さて、まずはグリップだけでもやる価値があるとのことだったで、ゴルフ歴10年目にして家でグリップの練習を始めました。

 

ベン・ホーガン氏いわく「1週間グリップの練習を続けるだけでも、他の全て(グリップだけでなく、アドレス、スイング、ショット、対応力など)に好影響がある」とのことでしたので、今週はグリップ週間にすることにしました。

 

練習場でも「モダン・ゴルフ」式のグリップ練習をしてからショットを打つように、練習法を変えました。

 

成果はこちらのブログでまた報告したいと思います。

色んなバージョンが出ているのですが、ハンディ版というのが読みやすくて(持ちやすくて)おすすめです。Kindle版は2018年8月現在ないので、紙のハンディ版がベストだと思われます。