ゴルフのブログ ~経営コンサルタントが頭でGolf攻略 ~by神谷奏六

運動神経悪い芸人並みに運動神経ゼロ、力もなし。ゴルフ歴10年でアベレージ100超えの経営コンサルタント・神谷奏六が、その運動能力不足を、データ分析と努力でカバーしてベストスコア71・シングルを目指すブログ。現在アベレージ83。

書籍「ゴルフデータ革命」より ゴルフ上達に役立つデータたち <後編>ショット別の重要度や、よりスコアアップにつながる練習がわかるデータ5選

書籍「ゴルフ データ革命」では、様々なゴルフ上達に役立つデータがまとめられています。

 

 

前回は、それらの中から「コースマネジメントに役立つデータ」を紹介しました。

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最近の漫画「オーイ!とんぼ」でも、「ゴルフデータ革命」を研究している登場人物が、「400Yパー4で、右がずっとOB、左はペナルティなしでずっとラフが続くホール。ティーショットはどこを狙うのが最も良いスコアになると思う?」と問いかけるやりとりがありました。

(正解は、プロならフェアウェー左端。平均100のゴルファーなら左のラフの中を狙うのがそれぞれ最もスコアが良くなる。)

 

これらをはじめとして、「ゴルフデータ革命」を取り上げる人は今でも多くおり、この書籍や、使われている指標「SG(ストロークス・ゲインド)」はちょっとずつメジャーになってきていると感じます。

 

今回は、「ショット別の重要度がわかるデータ」「ドライバー・アイアンなどのショットの上達方法がわかるデータ」についてまとめてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

PGAツアー上位40選手が稼いだスコアへのパッティング影響度はたった15%(ショットが85%)

よくゴルフ界で言われる言葉で「スコアの40%はパッティングだから、それだけパッティングは重要なんだ」というような言葉があります。

 

しかし、ゴルフデータ革命で紹介されているSG(ストロークスゲインド)を使ったショット分析法によると、スコアが良いプロと悪いプロの打数の差のうち、パットによる差は15%しかないという結果となるそうです。

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これは例えば、あるプロの試合で上位の選手と下位の選手で20打の差があった場合、うち17打(85%)はショットによって差がつき、3打(15%)のみがパットによってついた差だというデータになります。

 

つまり、「一番多く使うのはパターだから、スコアアップにはパッティングが重要だ」という言葉は当てはまらないと言えます。

 

ちなみに平均80のプレーヤーと平均100のプレーヤーの差(20打)のうち、パットによる差も15%(3打)です。

 

平均75〜125の間のどの2人のプレーヤーの差を比べても、その差のうちパットによる差は15%だそうです。

 

これだけ見ると、「パットのスコアアップへの貢献度は15%(ショットの貢献度が85%)」という指標はかなり説得力があると思います。

 

もし、コースに出でパットの失敗で苦労した時などに「本当はショットよりパットをたくさん練習しなければならないのかな。」と思うことがあったとします。

 

そんな時「いや、ショットの方が常に上達への貢献度は大きい」と考え直すことができるようになるデータです。

 

 

 

「優勝へのパットの貢献度」は35%であり、「スコアアップへのパットの貢献度」の2倍以上大きい

 

なお「スコアアップへのパットの貢献度」は15%ですが、全ての優勝したPGAツアープロは、優勝した試合で「優勝へのパットの貢献度」は35%になっています。

 

つまり、前述のデータからは「パットはショットより重要」は誤りだと言えるのですが、「『勝利へのパットの貢献度』は『スコアアップへのパットの貢献度』より高い」は言えることになります。

 

さらに言い換えるとすれば「あなたが『勝ちたい』なら、『スコアアップしたいだけ』の人よりたくさんパットの上達に時間を割かないといけないよ。」という感じとなります。

 

 

このデータを見ると、試合が近い時は、試合を行うコースでのパッティング練習に時間を割くのが大事だということがよくわかりました。

 

 


平均80ゴルファーと平均90ゴルフファーの差の10打のうち、アプローチで4打差、ティーショットで2.5打差がついており、10打差のうち2/3を占める

 

平均スコア80のゴルファーと、平均スコア90のゴルファーの間には、その平均スコアの間に10打の差があります。

 

この10打のうちどのショットでそれぞれどれくらいの差があるかを、SG(ストロークス・ゲインド)を使って計測したデータがあります。

 

それによると、両者の差は

 

  • ドライバーによる差 2.5打
  • アプローチ(パー4・パー5のティーショットを除く、100Y以上のショット)による差 4.0打
  • ショートゲーム(パッティングを除く100Y以内のショット)による差 2.1打
  • パッティングによる差 1.4打

 

という差があり、この合計の10打の差がスコアの差になっていると解説しています。

 

つまり、100Y以上のショットによる差が全体の差の2/3を占めており、この上達が重要だと言えます。


さらに、この書籍では、「上位のプロと、平均的なプロ」「平均90ゴルファーと、平均100ゴルファー」「平均100ゴルファーと、平均110ゴルファー」のそれぞれの差も紹介されています。

 

これらを見ると、意外なことに、それぞれのスコアの差に占める各ショットの差はほとんど同じで、100Y以上のショットの差が、全体の差の2/3を占めていることがわかります。

(違いと言えば、平均100の人と110の人の差だけは、ドライバーの差がやや大きく、ショートゲームの差がやや小さいという点くらいかと思います。)

 

 

なお、ライザップゴルフでは短期間でスコアアップするために、ショートゲームの練習から始めることで知られています。

 

つまり、これらを加味すると

  • 大きくスコアアップするにはロングゲーム
  • 早くスコアアップするにはショートゲーム

の上達が大事だと判断できそうです。


私たちアマチュアの場合、試合前はパッティングやショートゲームの練習を増やした方が手っ取り早いですが、大きく上達しようと考えると、まずアプローチ(パー4・パー5のティーショットを除く100Y以上のショット)、次にドライバーの練習がより重要だと言えそうです。

 

このデータを見て、私もしばらく試合がない時にはショットの練習を多めに、試合が近い時はショートゲームの練習を多めに、というように意識して練習量を決められるようになりました。

 


飛距離が20ヤード伸びるとプロは1ラウンドあたり0.75打、平均90プレーヤーは1.6打縮まる

この書籍では、よくテレビ中継などで出てくる「トータルドライビング(ドライバーの平均飛距離の順位と、フェアウェーキープ率の順位の合計数の順位)」について、ドライバーの正確な実力を示していないと指摘しています。

 

なぜ、トータルドライビングではゴルフの問題を解消できないかというと、この指標は飛距離の順位と精度の順位の2つを単純に足しているため、例えば

  • 飛距離1位、フェアウェーキープ率250位の選手
  • 飛距離51位、フェアウェーキープ率200位の選手

が同じトータルドライビングの数字になってしまいます。

(が、プレーヤーとして強いのはおそらく「飛距離1位、フェアウェーキープ率250位の選手」でしょう。)

 

 

これに対して、同書では上記の2人がスコアや勝利数においてどれだけ差が出るかを明確にします。

 

そして、(この点がすごいのですが)「飛距離をどれくらい伸ばすと、どれくらいスコアがよくなるのか」についてもSG(ストロークスゲインド)というデータ指標を使って解明しています。

 

それによると、角度の精度(左右に何度くらい外れて打ち出すか、曲がるか)が同じで、飛距離が異なる選手を大量に比較していくと、プロの場合、飛距離が20ヤード伸びると1ラウンドあたり0.75打スコアが縮まるというデータが紹介されています。

 

まず、このデータの時点で「飛距離が伸びると、その分OBや池に入るリスクが上がるから、飛べばいいというわけではない」という説が誤りであることがわかります。

 

そして、プロのデータだけではなく、アマチュアの場合、飛距離が伸びるとそれぞれどれくらいスコアがよくなるかも紹介されています。

 

それによると、平均スコア90のゴルファーの場合、飛距離が20Y伸びると1ラウンドあたりでスコアが1.6打縮まること、さらにこの「飛距離が20Y伸びた場合に良くなる打数」は平均スコアが悪いゴルファーの方がたくさんの打数が縮まるというデータも紹介されています。


私は、同じ年齢・同じスコアの人と比べるとドライバーはかなり飛ばない方だと思いますが、SG指標で分析すると、ドライバーは他のショットと比べてずっと良い数値でした。

※自分のショット別SGは、スマホアプリ「Golfmetrics」で把握できます。 

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これにより、「飛ばないが、それ以上により曲がらない(行ってはならない方に行かない)」という自分の特徴を理解できました。

 

 

このデータに加えて、上述の「飛ぶほどスコアが伸びる」というデータも加えることで

 

  • 試合前は「行ってはならない方に行かない」練習(インテンショナルショットの練習)
  • 試合がない時は飛ばすためのトレーニングやスイング改造

というような練習方法を導き出すことができました。

 

 

最も重要なパットの距離は、プロは1.5m、アマチュアは1.2m

この書籍では、「あらゆるパットの中で、どの距離のパットが最も重要か」というテーマについて紹介されているという点が、非常に画期的だと思います。

 

20cmのパットを打つ機会は非常に多くありますが、これは誰でもカップインでき、差がつかないため、あまり重要とは言えません。

 

15mのパットを入れられる人と、入れられない人では大きな差がつきますが、滅多に打たない上に、どうせ滅多に入れないため、これもあまり重要とは言えません。

 

これについて、

  • 打つことになる回数
  • 入った時と外した時の、稼いだ(失った)打数の差

の2点から、SG(ストロークスゲインド)を使って最も重要なパットの距離を明確にしています。

 

これによると、プロは1.5m、アマチュアは1.2mのパットが最も重要だというデータを導き出しています。

 

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「練習グリーンでは1mのパットを入念に練習しろ」ということをいうレッスンは多く見られます。

 

私も中井学プロがこのようなことを再三言っているのを知り、ラウンド前の練習グリーンで様々な方向からの1mのパットをちゃんと練習するようになりましたが、これはデータに基づいている練習法だと言えます。

 


また、家でパターマットで1mちょっとを繰り返し練習することも、(練習法次第ではありますが)重要だと言えるでしょう。

 

ゴルフ データ革命

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  • 作者: マーク・ブローディ,解説・牧田幸裕,吉田晋治
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2014/06/12
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