ゴルフのブログ ~経営コンサルタントが頭でGolf攻略 ~by神谷奏六

運動神経悪い芸人並みに運動神経ゼロ、力もなし。ゴルフ歴10年でアベレージ100超えの経営コンサルタント・神谷奏六が、その運動能力不足を、データ分析と努力でカバーしてベストスコア71・シングルを目指すブログ。現在アベレージ83。

書籍「ゴルフデータ革命」より ゴルフ上達に役立つデータたち <前編>コースマネジメントに役立つデータ3選

書籍「ゴルフ データ革命」(マーク・ブローディ著)は、膨大な数のプロとアマチュアのショットのデータを元に、ゴルフ上達に効果的な方法を紹介した本です。

 

先日の週刊ゴルフダイジェストの漫画「オーイ!とんぼ」にも病気で長期療養中でゴルフができないキャラクターが、ゴルフを研究するために読んでいる本として紹介されていたので、また認知度が上がったのではないかと思います。

 

 

オーイ!とんぼの中では「100ヤード以上をプロが、100ヤード以内をアマチュア(平均90のゴルファー)が打つのと、その逆に100ヤード以上をアマが、100ヤード以内をプロが打つのとでは、どちらがスコアがよくなると思う?」と問いかけるシーンがありました。

(正解は、100ヤード以上をプロが打つ方がスコアが良い。)

 

このように、これまでは賛否が分かれがちだった意見にデータで答えを出したり、時にゴルフの常識や一般論を覆したりと、非常に衝撃的であり、意外に思える内容(しかし全てデータで立証済みの内容)にあふれた書籍です。

 

今回から、この「ゴルフデータ革命」で紹介されている内容、特に膨大なデータの中で、私が「これはゴルフ上達に役立つ!」と思ったデータについて、抜粋して紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

 

書籍「ゴルフデータ革命」の魅力

私が「ゴルフ データ革命」という書籍を初めて知ったのは、マーク金井氏のブログで紹介されていた記事を読んだ時です。

 

ゴルフ データ革命

ゴルフ データ革命

  • 作者: マーク・ブローディ,解説・牧田幸裕,吉田晋治
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2014/06/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

 

「プロとアマの膨大なショットデータとスコアを集め、どこからどんなショットを打てる人がどれくらいスコアを縮められるのかを解明した」というような紹介がされていたと思います。

 

すぐにこの書籍を読んだですが、私が感じたのは「データ」と「スコアアップ」がここまで繋がっている書籍というのは、かなり貴重だと感じました。

 

「データ」に関しては、プロの飛距離やフェアウェーキープ率などのデータを紹介している雑誌はありますが、これらはゴルフ中継を楽しむのには役に立ちますが、自身のゴルフの上達につながるかといえば、そうでもありません。

 

例えばこれまでの指標(データ)では「ティーショットがあと20ヤード飛ぶようになるのと、40Yのアプローチがあと1.5m寄るようになるのとでは、どちらがスコア貢献度が大きいのか」というような比較は出来ませんでした。

 

一方、「スコアアップ」に関しては、ゴルフ上達に関する書籍や記事には、データを元にしたものは非常に少ないため、自分の課題を客観的に把握できず、書いている内容が自分に当てはまるのかどうかもよくわかりません。

 

その点、ゴルフの上達を目的とした書籍で、データという視点でここまで明らかにしたものは「ゴルフデータ革命」以外はなかなかないと思います。


本の中ではゴルフ上達の近道になり得るデータが非常にたくさん紹介されていますが、以下に、私の主観のみで、特に印象的だったデータを紹介していきたいと思います。

 


まず、今回の前編では「コースマネジメントに役立つデータ」を3つ厳選してみます。

 

 

 

1.カップまで125ヤードの地点からだと、アメリPGAのツアープロは50%以上の確率で7m以内に寄せ、アマチュアは50%以上の確率で15m以内に寄せる

 

まず、このデータを見ると、残り125Yから打つプロのショットは、意外と寄っていないことに気づかされます。

 

残り125Yと言えば、プロならウェッジで打つ距離なので、毎回のようにベタピンの1パット圏に寄りそうな印象があります。

 

しかし、このプロのデータは、アメリPGAツアーでのショットデータを用いていることに注意が必要です。

 

つまり、

  • 深いラフから
  • 速いグリーンの
  • (ハザードに近い側や寄りにくい側など)ハードなピンポジションへ打つ

という条件でのショットとなります。

 

そして、これだけ難しいプロの試合でのデータだとは言え、アメリPGAツアープロでも125Yから打つと2回に1回はピンから7m以上離れたところにしか止まらないということに、マネジメントのヒントがあります。

 

マチュア(平均スコア90のゴルファー)の場合を見ると、残り125Yから打つと2回に1回は15m以上離れたところに止まるというデータとなっています。

 

グリーンの大きさは(コースにもよりますが)端から反対の端まで20〜40mくらいであることが多いです。

 

仮に直径30mの円形のグリーンを狙う場合、毎回センターを狙ったとしても、それでも2回に1回はグリーンに止まらないということになります。

 

男性のアマチュアであれば、残り125Yならショートアイアンかウェッジになると思いますが、このデータを見ると、それでもピンを狙うのは危険であり、残り125Yくらいであれば、基本的にセンター狙いというマネジメントをすべきだと言えます。

 

 


2.リカバリーショットでピン方向を狙っていいのは、成功確率が72%以上の時

 

「ゴルフデータ革命」では、例えばティーショットを林の中や隣のホールに入れてしまった場合のセカンドショットなど、ピン方向を狙うのが難しく「出すだけ」などの選択肢が濃いショットを「リカバリーショット」と定義づけています。

 

このリカバリーショットで、ピンを狙うべきか、「出すだけ」を狙うべきか、についてもこのこの書籍では結論を出しています。

 

結論としては、(優勝がかかったホールか、遊びのラウンドか、などの状況を除くと)プロがスコアを縮める確率が高いのは「成功確率が72%以上の時はピン方向を狙っても良い」となります。

 

 

この「72%」という数字を出したのには、

 

A.「出すだけ(残り200Yのフェアウェーに出す)」を選択すると林の中からの平均スコアは4.2打

B.ピン方向を狙って成功した(残り100Yのフェアウェーに出す)場合の林からの平均スコアは3.8打

C.(上記A.B.より)最初ピンを狙って失敗し(1打)、次に「出すだけ」を選択(4.2打)すると、合計5.2打

 

というプロのデータを元に、「B.のメリット(A.と比べて0.4打稼ぐ)がC.のリスク(A.と比べて1打失う)と釣り合うためには、B.の確率が72%以上ないといけない(Bのメリット0.4打×72%≒Cのリスク1.0打×28%であるため)」という根拠を出しています。

 

 

この計算方法と、SG(ストロークス・ゲインド)を集計できるアプリ「Golfmetrics」を使うと、プロとはいかないまでも、スクラッチプレーヤーのスキルを元に、ホームコースのマネジメントを考えることができます。 

Golfmetrics

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例えば、私のホームコースの沖縄の美らオーチャードゴルフ倶楽部の7番には、ティーショットを左右に外すと、セカンドを林の裏から打たなければならない状況があります。

 

例えば、ティーショットを左に外すと、林の裏側から80Yほどのショットを打たなければならなくなります。

 

ここから出すだけだと、やや後ろ方向に出して残り100Yのラフから打つ必要があります。

 

一方、林のやや右側のピンに近い側を狙うと、かなりの打ち上げの崖を越え、さらにその先のバンカーを越えることさえ出来れば、残り30Yほどのフェアウェーから打つことができます。

 

 

この場合、

A.「出すだけ(残り100Yのラフに出す)」を選択すると林の中からの平均スコアは4.2打

B.ピン方向を狙って成功した(残り30Yのフェアウェーに出す)場合の林からの平均スコアは3.6打

C.(上記A.B.より)最初ピンを狙って失敗し(1打)、次に「出すだけ」を選択(3.6打)すると、合計4.6打

というデータが同アプリから収集できます。

 

そして、書籍内と同じ計算方法で、「B.のメリット(A.と比べて0.6打稼ぐ)がC.のリスク(A.と比べて1打失う)と釣り合うためには、B.の確率が63%以上ないといけない(Bのメリット0.6打×63%≒Cのリスク1.0打×37%であるため)」ということができます。

 

このデータがあれば、試合などで同じ状況になった時、過去の練習ラウンドなどの経験から「この状況から出せる確率は63%以上あるか?」を判断して、後ろに出すのか、ピン方向を狙うのかを決めればいいということになります。

 

 

これは大事な場面で役立つ非常に貴重なデータだと言えます。

 

「出すだけ」か、ピン方向を狙うか、の判断を迫られる状況は他のホールにも(もちろん他のコースにも)あるため、この計算方法を元に、試合前などに色々データを出してみたいと思います。

 

 

 

3.プロとアマがそれぞれ2回打ち、プロは悪い方、アマはいい方のボールを選択し続けて18ホール勝負した場合、プロの勝率は50%

 

ティーショットも、セカンドも、パットも2回ずつ打ち、プロ(標準的なアメリPGAツアープロ)はそのすべての悪い方(ワーストボール)、アマチュア(平均スコア90)はそのすべての良い方(ベストボール)を選択した場合、プロとアマどちらが勝つか?」というシミュレーションをコンピューターでおこなった結果がこの書籍には紹介されています。


テレビを見ていても、プロはアマチュアがしょっちゅうやるミスをすることはほとんどないのでプロが勝ちそうに見えますし、アンケートでは「プロのワーストボールのスコアの方が良い」という予想が多かったそうです。

 

しかし結果は、全く同じスコアでホールアウトしたそうで、何度も実験した結果もプロの勝率は50%だったそうです。

 

詳細は書籍で紹介されていますが、ワーストボールを選択するということは、例えば、微妙な距離のパッティングが残った場合、ワーストボールで1パットで決めるには2回連続で決める必要があるなど、かなりハードルが高くなります。

 

実際にシミュレーションしたショットでは、プロのティーショット、アマチュアティーショット、アマチュアのセカンド、プロのセカンド・・・というように2回打ち、プロは悪いボール(アマは良いボール)を選択し続けていくと具体的にはどのようなプレーになるのかが紹介されていますが、意外とプロもアマもパーとボギーに集約されていくので、面白いです。

 

また、ベンホーガンやグレッグノーマンが集中力をつけるためにワーストボール方式で練習していたエピソードなども紹介されています。

 

試合前のコースマネジメントのトレーニングに非常に良さそうだと感じますので、ガラガラの閑散期の平日に2バックでプレーしていて、後ろの組が全く来ていない時などに一度試してみたいと思いました。

 

今回は「コースマネジメントに役立つデータ」についてまとめてみましたが、次回以降の記事では「上達につながる練習をするのに役立つデータ」についてまとめてみたいと思います。

 

ゴルフ データ革命

ゴルフ データ革命

  • 作者: マーク・ブローディ,解説・牧田幸裕,吉田晋治
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2014/06/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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