ゴルフのブログ ~経営コンサルタントが頭でGolf攻略 ~by神谷奏六

運動神経悪い芸人並みに運動神経ゼロ、力もなし、身長165cm。ゴルフ歴10年でアベレージ100超えの経営コンサルタント・神谷奏六が、その運動能力不足を、データ分析と努力でカバーしてベストスコア71・シングルを目指すブログ。現在アベレージ88。

SG(ストロークス・ゲインド)とは 〜ゴルフデータ革命で紹介されている、最先端SG指標について噛み砕いてみる〜

書籍「ゴルフ データ革命」で紹介されている「SG(ストロークスゲインド、あるいはストロークゲインド)」という指標があります。

 

ストロークはドライバーとかパターの1ストロークストロークのこと、ゲインドは「稼いだ」という意味です。

 

ある期間(例えば今日とか、この大会とか、今月とか)の色々なショット合計が目標・目安とする人に対して合計どれだけ稼いだかを計算するならStrokes Gained(ストロークスゲインド)、今打ったこのショットが目標・目安とする人に対してどれだけ稼いだかを計算するならStroke Gained(ストロークゲインド)と呼ぶのが適正かもしれません。

 

ゴルフ業界には、パーオン率とか、パット数とか、スクランブル率とか、ドライビングディスタンスとかいった様々な「ラウンドデータを分析する指標」があります。

 

しかし、このストロークスゲインドという指標はそれらよりはるかに優れた、ある人のゴルフのラウンドデータを比較分析するためには(もちろん完全ではないですが)現時点ではベストの分析方法だと思うのです。

 

 

 

私は自身のSG(ストロークス・ゲインド)を知ることで、自分のやってきた練習で成果があった練習となかった練習を明確に把握することが出来るようになりましたし、次の課題やコース別の自分の傾向を把握することもできるようになりました。

 

結果、去年の今頃(2017年8月頃)はアベレージ105くらいだったのに、ストロークスゲインドをもとに足りないスキルを重点的に練習するようにショット別の練習時間比率を変えるようにしてからは、今(2018年8月)では最近10回のアベレージが88くらいになりました。

 

このように自身のゴルフ上達に使えるという価値があるのですが、それだけでなく、プロと自分、ハンディ0のスクラッチプレーヤーと自分、アベレージ90のプレーヤーと自分などのショット別の比較も可能ですし、ゴルフ中継でプロを見てどのショットが得意・苦手などを知ることも出来るという、極めて優れたショット分析手法だと思います。

 

このSGの話を知り合いのゴルファーに話すとだいたいは「SG(ストロークゲインド)とかSGP(ストロークスゲインドパッティング)とかはゴルフ中継で見たことがあるが、どういう意味なのかいまいちわからない」と言われることが多いです。

 

そこで、このSG(ストロークス・ゲインド)について、なるべくわかりやすく、なるべく詳細に解説してみたいと思います。

 

 

 

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         SG(ストロークス・ゲインド)誕生の経緯

ゴルフ業界には上述のように、昔からパーオン率やパット数のように様々な分析指標がありました。

 

しかし、これらのいずれも「どのショットがよくて、どのショットが悪かったか」「どのショットがより重要で、どのショットがより重要でないか」を分析するのにはかなり不十分でした。

 

 

従来の指標の「異なるショット同士を比較できない」という問題点

例えば、パット数だけを見ても、パッティングがよかったのか寄せがよかったのかはほとんどわかりません。

 

データとしてはプロでもアマチュアでもパーオン率が高い日の方がパット数は増える傾向がありますので、実際、プロの中継で紹介される「平均パット数」はパーオンした際の平均パット数しか集計対象にされていません。

 

私たちアマチュアが数えるパット数は普通そんなこと加味せずに18ホールのパッティング回数をそのまま合わせますが、このパット数が少ない人がいても、その人はパターが上手いのか、寄せが上手いのか、セカンドが上手いのか、ティーショットが上手いのかがわからないのです。

 

よく、パターが苦手で「パット数を減らすには」という話をゴルフ場のレストランでしている人たちが「パターを練習しろ」「いや、寄せを練習しろ」などと話をしています。

 

しかし、パーオン率が高いとパット数が増えることは誰でも知っているので、パット数を減らしたければ「パーオン率を下げろ」というアドバイスが一番確実だということになってしまいます。

 

このように「パット数」という指標だけでは、どのショットがよくてどのショットが悪いのかがわからないのです。

 

これは他の指標も同じで、同じようにサンドセーブ率だけ見ても、バンカーショットがよかったのかパッティングがよかったのかはわかりませんし、パーオン率やボギーオン率だけ見てもティーショットがよかったのかセカンドがよかったのかはわかりません。

 

 

更に、従来の指標を組み合わせたとしてもそれだけでは自分がドライバーとパッティングのどちらが得意なのかも、ほぼ自己満足レベルでしかわかりません。

 

例えば、「私はドライバーは280ヤード飛んで、フェアウェーキープ率は90%。パーオン率は5%で、平均パット数は43」くらい目立ったプレースタイルなら、「うん。たぶん、ドライバーが得意でパッティングが苦手だね」くらいは想像できます。

 

しかし「私はドライバーは230ヤード飛んで、フェアウェーキープ率は40%。パーオン率は18%で、平均パット数は35だ」くらいの、いわゆるよくいそうなアベレージゴルファーの場合、これらの指標だけではどっちが苦手でどっちが得意かは全くわからないと思います。

 

これは、言い換えると「ドライバーがあと20ヤード飛ぶようになる方がスコアがよくなるのか、それともアプローチがあと1メートル寄るようになる方がスコアがよくなるのか?」も分からなければ、「フェアウェーキープ数があと3回増える方がスコアがよくなるのか、それともパット数があと1回減るのがスコアがよくなるのか?」もわからないということです。

 

このように、別々のショットを比較してどちらが得意でどちらが苦手かを測る有効な指標がこれまでほとんどありませんでした。

 

 

同じ状況でのショットですら、「距離感と方向性のどちらが問題か」がわからないという問題点

また、1つのショットを分析するだけでも、従来の指標では不足している部分が多くありました。

 

例えば、ドライバーのショットを分析する指標にはフェアウェーキープ率やドライビングディスタンス、それらの順位を足したトータルドライビングという指標があります。

 

しかし、上記の指標だけだと、ドライバーで280ヤード飛んでバンカーに入ったショットと、240ヤード飛んでラフに入ったショットと、当たりが薄くて210ヤードだけどフェアウェーキープしたショットではどれが最もスコアに好影響を与えるのかを判断することはできません。

 

例えば、そこそこ飛ぶけどめちゃくちゃ曲がって2回に1回くらいと大量にOBを出す4人と、それらの人より平均20ヤードほど飛距離が落ちるけれど毎回フェアウェーキープする私がいた場合、この5人の中で、私のフェアウェーキープ率は1位、ドライビングディスタンスは5位、トータルドライビングは3位とかになります。

 

おそらくこの5人の中で最もスコアがまとまるのは私ですが、フェアウェーキープ率を見ても、ドライビングディスタンスを見ても、トータルドライビングを見ても、私が飛んで曲がる4人より何打くらいドライバーでスコアを稼いでいるかはわかりません。

 

これらのように、同じクラブでのショットでも、どのミスがスコアにより悪影響を与えたのかが分析できなかったのです。

 

 

「スコアへの貢献度」という視点でショットの重要度を測れないという問題点

さらに、ゴルフの本や雑誌、記事や動画を見ていると、コースの攻め方についても人によって言っていることが全く異なります。

 

・「ドライバーの飛距離が出た方がセカンドを短いクラブで持てるからいい」とか、「いやフェアウェーキープの方が大事だ」とか。

・「セカンドをレイアップするなら、中途半端な40ヤードを残すよりは100ヤードを残した方がいい」とか、「いや少しでもグリーンに近づいた方がいい」とか。

・「ネバーアップネバーイン(届かなければ入らないんだから確実にカップの先まで打て)」とか、「いや上りのパットでオーバーすると難しい下りを残すことになるから手前に止めろ」とか。

 

「どのクラブを重点的に練習すべきか」に関しても様々です。

 

・ドライバーが飛ばないとしんどいし、練習場でコースと同じ環境で練習できるのはドライバーだけだからドライバーを練習しろとか。

・フェアウェーウッドとかミドルアイアンが難しいのだからそれを練習しろとか。

・いや、7I、8Iが全部のクラブの中心なんだからとか。

・いや、上級者はみんな数十ヤードのウェッジを練習しているからそれをやれとか。

・いやいや、スコアの40%はパターなんだからパターをやれとか。

 

他にも「50cmのパターは上級者と初級者の間で差が出ないが、バンカーショットは上級者と初級者の間で打数に大きな差がつくからバンカーショットを練習しろ」とか、「いや、バンカーショットは、差は大きいとは言ってもそもそも回数が少ないから一番回数の多いパターをやれ」とかのように、「ショットの重要性」については意見がわかれる様々な意見が存在します。

 

 

 

つまり、従来の指標を使った分析では「ゴルファーのショットを『スコアへの貢献度』というもっとも大事な視点で分析できない」「ゴルフという競技を『実際にどう攻めるとどうスコアに貢献しているものなのか』という考察できない」という問題がありました。

 

 

数学教授のマーク・ブローディ氏が動的計画法を用いて考案・データ化したものが「SG(ストロークゲインド)」

この問題を、膨大な量のショットのデータを集めれば解決できるのではないかと考えたのが、この書籍「ゴルフ データ革命」の著者マーク・ブローディ氏です。

ゴルフ データ革命

ゴルフ データ革命

 

 

マーク・ブローディ氏は、名門クラブのクラブチャンピオンになるくらいのゴルファーであると同時に、コロンビア大学ビジネススクール教授です。

 

専門は数量ファイナンスという応用数学の一部で、これは複雑な財務リスクの測定や財務リスクの管理、投資目標を達成するためのお金の振り分け方などに活用する、数学の中でも極めてマニアックな分野のようです。

 

このマニアックな数学の知識や考え方を、ゴルフの分析に活用して完成したのがストロークス・ゲインド(ストロークゲインド)という指標です。

 

しかも、マニアックな知識を「難しく完全に」ゴルフに当てはめるのではなく、「(完全ではないと批判が出るくらい)シンプルに」ゴルフに当てはめているので、私のような文系ゴルファーでも楽しくストロークスゲインドのデータと付き合うことができます。

 

数量ファイナンスという難しい概念をゴルフに当てはめるのではなく、その前提となる統計やシミュレーション、その中でも「動的計画法」というテクニック、といったゴルフに役立ちそうな部分を活かして、ゴルフ分析に役立つ指標としたのがストロークス・ゲインドという考え方のようです。

 

マーク・ブローディ氏は、「指標」に対する考え方として、従来のパーオン率やパット数等の指標を使うことで「わかりにくくて情報があまり得られないだけでなく、誤解を招くおそれもある」「とはいえ、わたしは優れた指標は役に立つと心から信じている」と述べています。

 

同氏はこのストロークス・ゲインドの概念を提唱しただけでなく、自身で集めたスコア60台~140台のゴルファーにまたがる10万ショット以上のデータと、アメリPGAツアーが公開しているプロの1000万ショット以上のデータを使って、どのゴルファーの、いつの、どのショットがどれだけスコアや勝利に貢献したのか、ゴルフではどんな攻め方をした人が実際にスコアを縮めているのかなどを書籍「ゴルフ データ革命」で紹介しました。

 

これにより2011年からはアメリPGAツアーで運用が開始され、今ではテレビ中継などで、プロの得意クラブや最近の調子などがショット別のストロークスゲインドを通じて紹介されるようになりました。

 

そして、今では私たち90叩いたり、100叩いたりするようなアマチュアゴルファーが、近所のゴルフ場での遊びのラウンドでのショットデータを通じて、上級者に対してどのショットで最もスコアを損しているのかを把握し、練習に役立てられるようになりました。

 

 

         SG(ストロークス・ゲインド)の意味・概念

それではストロークス・ゲインドという指標は何なのか、計算方法などについて噛み砕いてみたいと思います。

 

 

 

1.指標の単位

上述のように、ストロークス・ゲインドという指標は、ショットがスコアや勝負にどれくらい貢献したかを測ることを目的としています。

 

したがって、この指標の単位はパット数やフェアウェーキープ率のような「平均○回」「○%」でもなく、ドライビングディスタンスのような「○ヤード」でもなく、打数、つまり「○打」がストロークス・ゲインドという指標の単位です。

 

そして、ストロークス・ゲインドの単位である打数の使い方はたった一つ「○打稼いだ(失った)」です。

(稼いだ打数がマイナスなら「○打失っている」と表現するのですが、これは「マイナス○打稼いだ」ということと同じであることを考えると、単位はただ1つ「○打稼いだ」のみということになります。)

 

 

2.打数の比較対象と、比較の概念

自分のショットをストロークゲインドを使って「今のパットで○打稼いだ」というように表現するためには、比較対象が必要です。

 

これは、「上回りたい目標プレーヤーの平均打数」が比較対象となります。

 

例えば、プロが試合で上位に入りたいとすれば、「その試合に出ているプレーヤーの平均の打数」が比較対象となります。

 

そして、例えば「その試合に出ているプレーヤーが、平均12メートルを2.0パットで上がる」というデータがあり、あるプロが12メートルを1パットで決めた場合、そのプロはその12メートルのパットで「その試合に出ているプレーヤーに対して、そのパットで1打稼いだ」と表現します。

 

別の言い方をすると、「そのプロのその1回の12メートルのパットのストロークゲインドは1打である。」となります。

 

これが逆に、そのプロが12メートルのパットを3パットしてしまった場合、そのプロはその12メートルの3回のパットの合計で「その試合に出ているプレーヤーに対して、その3パットで1打失った」と表現します。

 

これは、別の言い方をすると、「そのプロのその12メートルの3パットの合計のストロークス・ゲインドはマイナス1打である。」となります。

 

 

これが例えば、90切りを目指したいアマチュアの場合、「平均90のプレーヤーの平均の打数」が比較対象となります。

 

例えば「平均90のプレーヤーが、平均2メートルを1.5パットで縮める」というデータがあり、あるアマチュアゴルファーが2メートルを1パットで決めた場合、そのアマチュアゴルファーはその2メートルのパットで「平均90のプレーヤーに対して、そのパットで0.5打稼いだ」と表現します。

 

別の言い方をすると、「そのアマチュアのその1回の2メートルのパットのストローク・ゲインドは0.5打である。」となります。

 

同じように、そこで2パットをした場合、「平均90のプレーヤーに対して、その2パット合計で0.5打失った(その2回のパットの合計ストロークス・ゲインドはマイナス0.5打である)」と言うことになります。

 

 

これは1回のパットについての評価だけでなく、1日トータルのパットや複数ラウンドでのパットについても評価可能です。

 

例えば、ある90切りをしたいアマチュアがいて、そのプレーヤーがある日2メートルのパットを3回打ち、2回は1パットで決めて、1回は2パットしてしまったとします。

 

もし上記のように「平均90のプレーヤーが、平均2メートルを1.5パットで縮める」というデータがあった場合、その日のアマチュアプレーヤーは2メートルのパットを決めたパット2回で0.5打×2=1打稼ぎ、外した2パットの1回で0.5打失っているので、そのプレーヤーはその日2メートルのパットで1ー0.5=0.5打を稼いだと言えます。

 

 

さらに、このストロークス・ゲインドの考え方はパットだけでなくショットでも同じです。

 

例えば、パープレーを目指したいプレーヤーの場合、「平均72のプレーヤーの平均の打数」が比較対象となりますが、例えば「平均72のプレーヤーが、残り80ヤードのラフから平均3打で上がる」というデータがあったとします。

 

その場合、あるゴルファーが残り80ヤードのラフからチップインを決めた場合、そのゴルファーはその残り80ヤードのラフからのショットで「平均72のプレーヤーに対して、そのショットで2打稼いだ(そのゴルファーのその1回の残り80ヤードのラフからのショットのストロークゲインドは2打である。)」と表現します。

 

これがストロークス・ゲインドにおける比較の対象と比較の概念となります。

 

 

3.全てのショットをストロークスゲインドで評価する方法

上記のように、

 

・「平均90のプレーヤーが、平均2メートルを1.5パットで縮める」というデータがある

・ある90切りを目指したいアマチュアゴルファーが2メートルを1パットで決めた

・そのアマチュアゴルファーはその2メートルのパットで「平均90のプレーヤーに対して、そのパットで0.5打稼いだ」と評価できる

 

といった、シンプルな例であれば、簡単に評価できます。

 

では、そうではないほとんどの場合はどうすればストロークス・ゲインドを使って評価できるのか。

 

例えば、90切りを目指したいプレーヤーが12メートル(40フィート)のパットを残り90センチ(3フィート)に寄せ、その90センチのパットを決めたとします。

 

平均90のプレーヤーは12メートルから平均2.3打で上がるというデータがあるので、この2パットで平均90のプレーヤーに対して2.3ー2=0.3打を稼いだことは上記の計算方法でわかります。

 

それでは、この「2パットで0.3打稼いだ」という2回のパットは、ファーストパットとセカンドパットのどちらがよかったのか、あるいはどちらの貢献度が低くてどちらの貢献度が高かったのか、という分析はどのようにしたらよいのでしょうか。

 

これをもう少し具体的に言い換えると、「ファーストパットの12メートルを残り90センチに寄せたパット」は平均90のプレーヤーに対して何打稼いだ(失った)パットで、「セカンドパットの90センチを決めたパットは平均90のプレーヤーに対して何打稼いだのか」という分析はどのようにしたらよいのでしょうか。

 

これは、「平均90のプレーヤーが12メートルから平均何パットするか」と「平均90のプレーヤーが90センチから平均何パットするか」という2つの指標から計算できます。

 

例えば、平均90のプレーヤーは90センチから1.17打で決めるというデータがあります。

 

つまり90センチのセカンドパットを1打で決めたということは平均90のプレーヤーに対して、この90センチのセカンドパットで0.17打稼いだということになります。

 

そして、上述のように、平均90のプレーヤーは12メートルから平均2.3打で上がるというデータがあるためこの2回のパットで平均90のプレーヤーに対して0.3打を稼いだことになるため、ファーストパットでは、「0.3打(2打で稼いだ打数の合計)ー0.17打(セカンドパットで稼いだ打数)=0.13打」をファーストパットで稼いだとわかります。

 

つまり、12メートルを90センチに寄せたファーストパットよりも、90センチを決めたセカンドパットの方が平均90のプレーヤーに対して稼いだ打数が多いということがわかります。

 

今は、どんなライ(グリーン、フェアウェー、ラフ、バンカー、リカバリー等)から、どのレベルのプレーヤーが、何打で上がるかというデータはかなり集まっているため、上記で例に挙げたパッティングで稼いだ打数(SGP・ストロークスゲインドパッティング)以外にも、全てのショット・パットでストロークスゲインド(稼いだ打数)を把握できます。

 

 

例えば、パープレーを目標としている人が、残り130ヤードのラフからのセカンドをピンから18メートルにオン、そこからファーストパットを残り2メートル(7フィート)につけ、その2メートルのパットを決めたとします。

 

クラッチプレーヤー(平均72で回るプレーヤー)は、

 

・残り130ヤードのラフからは3.25打で上がる

・ピンから18メートルのグリーン上からは2.3パットで上がる

・残り2メートルからは1.45打で上がる

 

というデータがあります。

 

 

だから、どのショット・パットがスコア(目標とするパープレーの達成)に貢献したのかは、

 

・比較対象の「残り2メートルを1.45打」に対して1打で上がったので、セカンドパットで0.45打稼いだ

・比較対象の「残り18メートルを2.3打」に対して2打で上がったので「2打で0.3打」稼いでいるが、セカンドパットで0.45打稼いでいるので、ファーストパットでは「0.3ー0.45=0.15打」を失っている

・比較対象の「130ヤードのラフから3.25打」に対して3打で上がったので「3打で0.25打」稼いでいるが、2回のパットで0.3打稼いでいるので、「0.25ー0.3=0.05打」を失っている

 

とわかります。

 

この例の場合、130ヤードのラフからのショット、18メートルのファーストパットはスクラッチプレーヤーに対して打数を失っていますが、2メートルパットで打数を大きく稼いで、この3打の合計で0.25打稼いでいると評価できます。

 

このようなプレーが続いているようであれば、このプレーヤーが最も練習すべきはロングパット、次に150ヤード以内のアイアンショット、自信を持ってプレーしていいのはショートパットだと判断できるかもしれません。

 

このようにストロークスゲインドの基準の打数のデータさえあれば、全てのショット・パットを評価できます。

 

 

4.全てのショット・パットのストロークスゲインドを計算する方法

上記のように、カップに入った1打のストロークゲインドを出し、その前に打ったショット・パットを含めた2打のストロークスゲインドを出してから最後の1打のストロークゲインドを引き、次にその前に打ったショット・パットを含めた3打のストロークスゲインドを出してから最後の2打のストロークスゲインドを引き・・・というようにすれば、全てのショットについて目標に対して稼いだ(失った)打数が算出できます。

 

が、現実的には「算出できなくもないです」と言った方がいいかもしれないくらい、大量の手間がかかります。

 

そこで、もう少しだけ楽な別の計算方法を紹介します。

 

例えば、上述のように、「パープレーを目標としている人が、残り130ヤードのラフからのセカンドをピンから18メートルにオン、そこからファーストパットを残り2メートル(7フィート)につけ、その2メートルのパットを決めた」という状況があったとします。

 

これも上述のように、データとしてはスクラッチプレーヤー(平均72で回るプレーヤー)は、

 

・残り130ヤードのラフからは3.25打で上がる

・ピンから18メートルのグリーン上からは2.3パットで上がる

・残り2メートルからは1.45打で上がる

 

というデータがあります。

 

これを使うと、このプレーは「『スクラッチプレーヤーなら3.25打で上がれる場所(すなわち残り130ヤードのラフ)』から『スクラッチプレーヤーなら2.3打で上がれる場所(すなわちピンから18メートルのグリーン上)』まで、1打で到達した」とも解釈できます。

 

一方で、スクラッチプレーヤーに関しては、言い換えると、「スクラッチプレーヤーは残り130ヤードラフから残り18メートルグリーン上まで『3.25ー2.3=0.95打』で到達すると言えます。

 

これに対して、この例示のプレーヤーは残り130ヤードラフからピン18メートルのグリーン上まで1打で到達しているので、0.95ー1=0.05打損していると計算することも出来ます。

 

この一連の計算を計算式にすると、「スクラッチプレーヤーのそこから平均ホールアウト打数3.25打の場所」から、1打かけて「スクラッチプレーヤーのそこから平均ホールアウト打数2.3打の場所」まで、1打かけて到達したわけですから、「(3.25ー2.3)-1=ー0.05」であり、この残り130ヤードラフからのショットで0.05打損している、という計算結果になります。

 

つまり、全てのショット・パットのストロークゲインドを算出するためには、

 

・ショット・パット開始位置の残り距離とライにおける、比較対象のそこからのホールアウト打数(A)

・ショット・パット後にボールが止まった場所の、残り距離とライにおける、比較対象のそこからのホールアウト打数

(B)

 

とすると、

 

「(A)ー(B)ー1=そのショット・パットのストロークゲインド」

 

となります。

 

これであらゆるショット・パットについて、比較したい比較対象と比較できるようになります。

 

そしてこの数式を組み込んだエクセルを作れば、誰でも(エクセルと比較対象プレーヤーのデータさえあれば)無料で自身のラウンドプレーの全てのショット・パットのストロークゲインドを算出することが可能になります。

 

そして、それがしんどいという人であれば、SG(ストロークス・ゲインド)を用いたゴルフスコア分析アプリGolfmetricsを使えば(有料ですが)全てのショット・パットのストロークゲインドを算出できます。

 

Golfmetrics

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それだけでなく、今ではラウンド中にほぼリアルタイムで、ツールによってはほぼ全自動で集計できるツールまで出て来ています。

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         SG(ストロークス・ゲインド)でわかること・できること

どのショットがよくて、どのショットが悪かったかがわかる

 

上述のように、パット数やサンドセーブ率などというデータだけを見ても、パターがよかったのか、アプローチ(バンカーショット)がよかったのかはわかりません。

 

しかし、ストロークスゲインドを見れば、全ショットのうちどのショットがよかったのかが(もちろん完全にではありませんが)かなり明確にわかります。

 

しかも、その日の良かったショット・悪かったショットもわかりますし、今月、今年、最近10ラウンド、このコース、このティーグラウンドなどで分類しても分析できます。

 

良かった悪かったも、過去の自分と比べて良かった・悪かったがわかるのはもちろん、誰か特定の他人と比べることもできますし、「平均的なプロ」「平均的なスクラッチプレーヤー」などと比較することもできます。

 

これにより、自分の苦手なショットを知って練習に役立てることができるし、得意なショットを知って自信にすることもできます。

 

 

 

どのミスが大きなミスで、どのミスが小さなミスなのかがわかる

 

上述のように、ドライビングディスタンスやフェアウェーキープ率、トータルドライビングだけを見ても、どのミスが大きなミスでどのミスが小さなミスだったのかはわかりませんし、ドライバーとパッティングとどっちでスコアを稼いだ(損した)のかもわかりません。

 

一方、ストロークスゲインドを使えば、ドライバーで280ヤード飛んでバンカーに入ったショットと、240ヤード飛んでラフに入ったショットと、210ヤードだけどフェアウェーキープしたショットでは、どれが最もスコアアップに貢献するショットで、どれが最もスコアアップに貢献しないショットかが(もちろん完全にではありませんが)かなりわかります。

 

これらはその日のドライバーショットの中での比較もできますし、パターの中での比較、あるドライバーショットのミスとパッティングのミスの比較、その日のドライバーの合計のミスとパッティングの合計のミスはどちらが大きかったのかを比較することもできます。

 

もちろん、期間を広げて分析することも出来ますし、誰かと比べたり、「平均的なプロ」などと比較して分析することも出来るのです。

 

これにより、「この状況で、考えられる最もスコアを損するミスはこのミスだから、それだけは避けよう」というように、ラウンドの際にコースでの攻め方を考えることができるようになります。

 

 

 

そもそもラウンドの基本的な攻め方のルールが統計的にわかる

 

上述のようにラウンドの攻め方のアドバイスも人によって言うことは様々(時に真逆)ですし、クラブ別の重要度・クラブ別の練習の重要性に関しても人によって言うことは様々(時に真逆)です。

 

一方、この「ゴルフデータ革命」という書籍では、ストロークスゲインドを使って、セカンドをレイアップするなら、中途半端な40ヤードを残す方がスコアがよくなっているのか、100ヤードを残した方がよくなっているのかなどを、膨大なデータをもとに、プロの場合、スクラッチプレーヤーの場合、平均90のプレーヤーの場合などごとに判明させています。

 

パー4・パー5のティーショット、100ヤード以上のロングゲーム(この書籍ではアプローチと呼んでいます)、100ヤード以内のショートゲーム、パッティングのうちどれがスコアに最も影響するか、どれが勝利に最も影響するかもストロークゲインドをもとに解説しています。

 

ストロークゲインドを使ってショートパットからロングパットまでの様々なパットのうち、何メートルのパットが勝つプロと勝てないプロ、中級者と上級者を分けているのかまで解説しています。

 

 

         SG(ストロークス・ゲインド)に対する批判

なお、これらの計算方法を取っているため、ストロークスゲインドでは分析しきれない項目も出て来ることになります。

 

たとえば、現在のストロークスゲインドを使った分析では、残り距離とライ(グリーンか、フェアウェーか、リカバリーかなど)しか加味していない分析がほとんどです。

 

つまり例えば、今あるデータを用いた分析方法では、プロが残り120ヤードから全英オープンのような深いラフから打って1ピンに寄せたショットと、私が残り120ヤードのパブリックの枯れかけた打ちやすいラフからトップして結果的に1ピンに寄ったショットが同じショットとして評価されるため、正しい評価とは言えないという批判です。

 

プロがマスターズのガラスのグリーンで逆転優勝がかかった下りの3メートルのバーディーパットを決めても、私が慣れたホームコースで友達と気楽に回っていたら上りの3メートルがたまたま入っても、(基本的には)稼いだ打数は同じとして評価されます。

 

つまり、コンディションの違い、傾斜など多少のライの違い、天候の違いなどは完全には考慮されないため「そんなデータは参考にならない」という批判があるのです。

 

このような批判に対しては、マーク・ブローディ氏は「それでも従来の指標よりははるかにマシだ」と指摘しています。

 

そもそも、ゴルフには二度と同じ状況でのショットはないので、そこまで加味するとゴルフにおいては完全な比較分析は不可能になります。

 

しかし、現在既に存在しているストロークスゲインドのデータだけでも、従来の指標で分析できたことよりはるかに多くのことを分析できる点に大きな価値があります。

 

そして、既に提唱されたストロークスゲインドの概念に加えて、今後更なる比較対象データが加われば、極限近くまで分析できるようになります。

 

例えば、今公開されているデータでは、残り距離とライ別の分析くらいになりますが、今後、様々なデータが蓄積されていくことにより、例えば「メジャー最終日・最終組最終ホールで1打差で追いかける時の、風速3~5メートルのアゲインストの中、フェアウェーからのセカンドショットでピン3メートルにつけたショットは、同じ状況の同プレーヤーに対して0.4打稼いだ」のような分析ができるようになる可能性すらあるといえます。

 

現に、例えばプロのある試合の選手別のストロークス・ゲインド・パッティングを紹介する際には、アメリPGAツアー全体のストロークス・ゲインド・パッティングと、その日の出場選手全体のストロークス・ゲインド・パッティングを比較してグリーンの難易度等を加味したデータを提供するなどの取り組みが既になされています。

 

ところが、ストロークスゲインドという指標は比較的新しい、最先端に近い指標であるために、現実的な運用としてはスコア(打数)に大きく影響する「残り距離」と「ライ」からのみシンプルに運用できるようになったばかりであり、「欠陥が多い」というよりは「今後、期待できる伸びしろが大きい」と評価すべきだと言えます。

 

ストロークスゲインドに対する主な批判は、「ストロークスゲインドの概念」に対する有効な批判にはなりえておらず、「現在のストロークスゲインドの比較分析結果」に対する批判は、今後対処されていくだろうものだと言えそうです。

 

 

         SG(ストロークス・ゲインド)をゴルフ上達に活用する方法

ストロークスゲインドは、時間軸でも今の1打、今日のこのショット、この大会期間中でのこのショット、今月の、今年の・・・と幅広く、場所軸でもこの残り距離の、このライの、このコースの、この国の・・・と幅広く、プレーヤー軸でも俺の、うちのチームの、うちの地域の、うちの国の・・・と幅広く、それぞれショットのレベルを分析することができます。

 

マチュアゴルファーがプロ並みのショットを出来ている状況を把握することもできますし、シングルを目指しているゴルファーが平均90のプレーヤー以下のレベルのショットに陥っているショットを見つけることもできます。

 

プロがやりがちなミス、上級者がやりがちなミス、アベレージゴルファーがやりがちなミスを知った上でミスの克服に努めることもできます。

 

私の場合、多くのレッスンプロ(10人とか15人とかだと思いますが)の指導をお金を払って受けて、この人に言われたことをやったら成果が出たとか、成果も出ず崩れただけだったとか、言われた通りに継続したのにたいした変化もなかったとか、そういった経験をしました。

 

これが、どうコースでのショット別の成果に影響を与えたのかを把握できるようにもなりました。

 

 

調子が悪かったのによいスコアが出た時はアプローチとパターがよくて、調子が良かったのにスコアが悪かった時はアプローチとパターが悪かったことも、このストロークスゲインドの指標を使って分析して初めて知りました。

 

私の現時点のベストスコアである81が出た時も、ドライバーが全然当たらず、アイアンでも大ミスを連発しました。

 

この話を友人にすると「じゃあなんで81なんていいスコアが出たの?」と聞かれるのですが、普段からSGを分析していればすぐにわかるくらい、アプローチとパターがよかったのです。

 

これも、見た目の「飛んだ飛ばない」「乗った乗らない」「曲がった曲がらない」だけではわからないですが、SGを把握していれば一目瞭然だと思います。

 

 

私はドライビングレンジでのショットの練習、アプローチ練習場でのショートゲームの練習、家のパターマットでのショートパットの練習を続けていたので、これらのSGは改善傾向にあったのですが、全然練習できていなかったミドルパット・ロングパットのショット別ストロークスゲインドが極端に悪いことにも最近数ヶ月で気づくことができました。

 

気づいた直後から練習グリーンでミドルパット・ロングパットの練習時間を増やした結果、比較的早い段階でSGを改善することができました。

 

これらのデータはパー72のコースのラウンドデータと、ショートコースのラウンドデータを比較することもできます。

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最近10回のラウンドデータと昨日の1ラウンドを比較することもできます。ラウンドでのパッティングと練習グリーンでのパッティングを比較することすらできます。

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また、書籍「ゴルフ データ革命」には、「タイガーウッズのドライバー、ロングゲーム、ショートゲーム、パッティングのうちどれが優れているのか」「データを基にパットで最も稼いでいる選手は誰で、ドライバーで最も稼いでいる選手は誰か」などのデータも紹介されているので、どのプロのどんなショットを参考にすればいいかを知るのにつながる情報も得られます。

 

それでだけでなく、「プロは2球打って悪い方のボールを採用し、アベレージゴルファーは2球打ってよい方のボールを採用する、というルールで18ホール回ったらどちらか勝つか?」「ロングゲームをプロ・ショートゲームをアマと分担するか、ロングゲームをアマ、ショートゲームをプロと分担するかでは、どちらか勝つか?」「ドライバーの飛距離が20ヤード伸びるとスコアは何打縮むのか?」などのデータが紹介されているので、練習の比率を決めるのにも役立ちます。

 

 

私はこれをスマホアプリ「Golfmetrics」で分析するようになり、ショートパットの練習の重要性に気づき、家のパターマットでショートパットの練習量を増やすようになったところ、練習開始から約10ケ月でベストスコアを11縮め(92→81)、「最近10回」の平均スコアを16縮める(104→88)ことに成功しました。

 

以前は「Golfmetrics」で見るショット別ハンディキャップはどのショットもほとんど変わらなかったのですが、最近ではショートパットは片手シングルやプラスハンディになることも多く、ラウンド中での手ごたえをはるかに上回るストロークス・ゲインドの改善データが手に入っています。

 

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私たちのようなアマチュアは、自分のプレーの何が課題なのかを正確に把握していないことがほとんどだと思うので、SGのようなデータを使って分析するのはオススメです。

 

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上記のアプリ「Golfmetrics」以外にもSGを分析するツールは色々あるので、「楽に集計したい」「お金をかけたくない」「クラブ別の分析もしたい」「より正確に」などの希望に応じて分析ツールを選ぶこともできるようになっています。

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