SG(ストロークス・ゲインド)を使ってショット別の目標を設定する方法 〜SGを使った目標設定の具体的なやり方&20Y以内の寄せ分析・前編〜
前々回の記事で、SG(ストロークス・ゲインド)を使って現在の私のスコアを分析し、重点課題を見つけて目標設定をしようとした話をしました。
そして前回の記事で、この半年間くらいの練習の効果検証をしてみた話を書きました。
これらを踏まえて、ゴルフの次の目標設定について、以下の流れで目標設定をしようとしています。
目標設定の流れ(前回の記事より)
(1)SG(ストロークス・ゲインド)を使って、直近のラウンドと、ラウンドのショット別のデータを取り始めた半年前のラウンドのデータを比較し、向上したショットとそうでないショットを把握する
(2)これもSG(ストロークス・ゲインド)を使って、上級者のショットと私の直近のショットを比較し、「打数が多いために重要度の高いショット」「伸びしろがあるショット」を把握する
(3)特に上級者のショットのレベルを、「プロ」「スクラッチ」「シングル」「80台」「90台」などレベル別に把握し、私が目指すレベルの目安を持つ
(4)上記(1)~(3)をもとに、要・強化ショットと、「どんな状況から、残りどれくらいの距離のどんなライに寄せる」という目標を決定する
(5)目標を達成するための練習法をレッスンプロと相談して決定し、実践・継続する
そして、前回の記事では(1)(2)について分析しました。
その結果、「打数が多いために重要度の高いショット」「伸びしろがあるショット」のいずれの視点でも以下の4つのショットが重点課題であることがわかりました。
すなわち
1.パー4・パー5のティーショット
2.20ヤード以内の寄せ
3.6フィート(1.8メートル)以内のショートパット
4.7~21フィート(2.1~6.3メートル)のミドルパット
の4つです。
そこでこれらのショットについて、SG(ストロークス・ゲインド)を使って上級者のショットのレベルを把握し、私の次の目標設定をしたいと思います。
すなわち、今回は上記の(3)についてです。
全てはストロークス・ゲインドという指標に基づいて考察が進んで行きますので、SGについてよくわからない方は以下からご覧ください。
この半年のストロークス・ゲインドを使ったショット・スコア分析はおなじみスマホアプリ「Golf Metrics」で行っています。
そして、その中でも特に今回は、「20ヤード以内の寄せ」についての目標設定をしてみたいと思います。
私がまず20ヤード以内の寄せから分析する理由
なぜ、上記の4つの重要度の高いショットのうちで20ヤード以内の寄せから分析するかというと、いくつか理由があります。
ひとつめの理由は、上記の「(1)向上したショットとそうでないショット」について前回の記事で書いたように、20ヤード以内の寄せは、この半年間で最もSG(ストロークス・ゲインド)を縮めた=上達したショットだからです。
「100切りはティーショット含むロングゲーム、90切りはグリーン周り、80切りはアイアンの練習が大事」と言うプロは多いですが、私のレベル(半年前はアベレージ90台後半、今はアベレージ80台後半)くらいであればグリーン周りの練習が重要だということは半年前からなんとなく感じていました。
また、実際にストロークス・ゲインドを集計してみると、グリーン周りの練習により稼いだ打数が最も多かったというデータも出てきました。
そして、これまでに最も打数を縮めたにも関わらず、今の私のレベルにおいても20ヤード以内の寄せは最も伸びしろのあるショットだというデータも出たのです。
この「練習すれば確実に上達する」という点と「更に伸びしろがある」という2点がストロークス・ゲインドのデータから示されたという点が、このショットの対策に取り組む魅力なのです。
また、このショットの分析から取りかかりたいふたつめの理由は、最近伸び悩みを感じているからです。
私がアプローチ練習場でグリーン周りの練習を定期的にするようになり、レッスンプロから教わった練習法で練習するようになってから、約2ケ月くらいで、ラウンド中に「最近、明らかに寄る!」という手応えを感じるようになりました。
しかし、それから今までこの練習はずっと続けて来たつもりなのですが、最初の頃の「何が何でももっと寄せてやる」という気持ちで練習していなかったのが問題なのか、最近伸び悩みを感じていました。
実際にストロークスゲインドを見ても、一時期は他のショットと比べて20ヤード以内の寄せが明らかに得意なショットだったのですが、今ではそうでもなく、むしろ失った打数が最も多いのが20ヤード以内という日も多くなりました。
そこでこのショットのてこ入れのために、再度ちゃんと具体的な目標設定をし、真剣に練習に取り組もうと思うようになりました。
そして、このショットの分析から取りかかりたいみっつめの理由は、このショットがなんだか一番イメージが湧きにくかったからです。
今では私は、ツアープロ、レッスンプロ、研修生や元研修生等のプロテストを受けるレベルの人、クラブチャンピオン、もう少し下でも県代表クラスや片手シングルクラスの人とは一緒にラウンドする機会があります。
それらの人のプレーを見ていて、ドライバーの球筋や狙い所・落ちどころは「このレベルになると、こんな感じ」というのがなんとなく気づいてきます。
また、パッティングも「このレベルになるとこんな感じ」というのはけっこう把握できます。
しかし、20ヤード以内の寄せは、私はまだショットレベルを把握することができていない気がしています。
もちろん、私レベルと比べると読み切って打ってきますし、ビタビタと寄せるのですが、やっぱり寄らずに大きくオーバーしたり、外してしまうことも多いように思います。
そこで、私の中では最も謎の多いショットの一つである「20ヤード以内の寄せ」について、統計データに真剣に取り組んで分析してみたいと思います
残り距離別のストロークス・ゲインドの比較分析と効果検証
ストロークス・ゲインドを使ったスコア分析アプリ「Golf Metrics」によると、(
ラフ・バンカー・リカバリーを除く)20ヤードの寄せをチップインすると、プロ(アメリカPGAツアープロです)に対して1.37打、打数を稼いだことになります。
これはすなわち「アメリカPGAツアープロは残り20ヤードから平均2.37打であがる」ということを示しています。
だいたい、寄せワンが2回に対して寄せツーが1回くらいあるくらいのイメージです。
また、6フィートのパットを1パットで沈めると、プロ(アメリカPGAツアープロです)に対して0.34打稼いだことになります。
上記の情報を組み合わせると、「(ラフ・バンカー・リカバリーを除く)20ヤードの寄せを残り6フィートに寄せると、プロに対して0.03打稼いだ」ということになります。
プロとのストロークス・ゲインドの差がわずか0.03打(=ほぼ差がない)なので、これは「20ヤードの寄せを残り6フィートに寄せると、ほぼプロ並みかそれ以上」だといえます。
これにより、「20ヤードの寄せがプロ並み」と言えるのは6フィートに寄せるレベルのことだと言えます。
更に、同じ方法で「スクラッチプレーヤー(平均72でラウンドする人)に対して稼いだ打数」を分析すると、20ヤードをピンから6フィートに寄せると、ほぼスクラッチプレーヤー並みのショットだと言うデータが出てきます。
これにより、スクラッチプレーヤーやプロ並みのショットを目指そうと思ったら、残り20ヤードからの目標は、「ピンから6フィートに寄せる」となると言えそうです。
ちなみにストロークス・ゲインドを使って他のグリーン周りも見てみると、これが残り15ヤードからの寄せである場合はピンから5フィートに、残り10ヤードからの寄せである場合はピンから4フィートに寄せるとプロ・スクラッチプレーヤー並みのショットとなるというデータになっています。
プロレベルとスクラッチレベルがほとんど変わらないのは、プロがプレーするグリーンの速さや、ピン位置の難しさなどが影響しているからかと思われます。
さて、本題はこれからです。
私たちは別にプロを目指しているわけではないので、アベレージ85、80、75くらいのそれぞれの目標設定をしなければなりません。
95切り、90切り、85切り、80切り(今の私)、75切りをしたいゴルファーに対して、ゴルフを統計学的に見た指標類ではおそらく世界最先端であろう指標がSGです。
そして、本当にショット別の結果を改善するには、このSGを使うのが最もよいと思います。
ゴルフ歴別に「○年でこれくらいはできるようになっておいてね」というものでもなく、ゴルファーのタイプ別に「こういう動きをしてね」とかいうものでもなく、とにかく「残り○ヤードのこんなライから、ピンから残り○フィートまで寄せれば上出来」というものを示すのがSGを使う目的です。
この範囲の信憑性あるデータは私が探した限りではほとんどないので、(ストロークス・ゲインドと比べると)数少ない統計から推測した、かなりざっくりな分析になりますが、これでなんとか目標設定をしてみたいとおもいます。
詳細は次回に続きます。
ストロークス・ゲインドの話が多すぎてよくわからなくなってきた、という方は、ストロークス・ゲインドについて解説した以下の記事をご参考ください。
アベレージ100超えだった私が1年たらずで平均80台になった経緯は以下。